水瓜の善悪は叩いて知る...

酷暑が続き...

イカがおいしい季節...

先日...

青果店で風情がある...

場面を見た...

従業員が...

大玉を軽くたたき...

これはおいしいよ...

と売り込んでいた...

そのほほ笑ましい...

情景を眺めつつ...

文豪...夏目漱石の...

言葉を思い出した...

水瓜の善悪は叩いて知る...

人の高下は胸裏の利刀を...

揮つて真二に割つて知れ...

人間の真の価値は...

外見や評判ではなく...

心の内にこそ...

あるということだろう...

かつて...

イカ農家を営む友を...

取材した...

就農1年目は...

出荷可能なスイカを...

一つも収穫できなかった...

冷害には何度となく...

泣かされた...

さらに一緒に...

働いてきた妻が病に倒れ...

看病と農作業を1人で...

やり切ったことも...

苦労は尽きなかった...

それでも...

私の使命の舞台である...

このスイカ畑で見事な...

実証を示し...

一切を変毒為薬する...

との決意が揺らぐことは...

なかった...

その後...

元気になった妻と...

栽培に汗し...

今では毎年...

収穫を待ちきれない...

顧客からの事前注文が...

全国から...

殺到するまでになった...

漱石は先の言葉に続けて...

事を成すには...

時...場合...相手を見抜け...

と訴える...

自然相手に毎年異なる...

条件下での連続闘争に...

燃える夫妻...

その姿に偉大な...

挑戦者の風格を見た...