「あの人、どうしてあんなに元気なんだろう」。
近所で話題の壮年部員は102歳。
秘訣を伺うと「毎日、人に会うこと」と教えてくれた。
道端で、公園で、スーパーで。
出会った人と気さくに話すと、
実年齢との差に驚かれることがちょっとうれしい、と笑顔皺が。
先日、名古屋市内で行われた聖教文化講演会。
日本認知症学会の認定専門医・
指導医である脳神経外科医の奥村歩氏は「“リアルの質感”が大切」と語った。
ITが発達した現代では、家から出なくても、
大半のことはパソコンやスマートフォンで済んでしまう。
しかし、それでは刺激が「視覚」に偏る。
そんな生活を続ければ“脳がなまってしまう”と。
脳を健やかに保つには、「五感」をバランスよく刺激すること。
例えば、読書で本を持ち、紙に触れる。
メモを手書きで取る。
でこぼこ道を歩く。森林で草や木の香りを楽しむ。
この“実感”が脳の老化を防ぎ、認知症になりにくくするという。
とりわけ、外に出て積極的に人に会うことを氏は推奨する。
友のもとへ歩いていく。
顔を見ておしゃべりをする。
幸福を祈りつつ手紙を書く――
人と関わる学会活動もまた、脳を若々しく保つ行動にほかならない。
出会いの春。
身も心も生き生きと前進したい。(靖)