「戦争」
の反対語を問われれば、多くの人が「平和」と言うだろう。
だが経済学者の暉峻淑子氏の答えは「対話」。
“対話が続いている間は殴り合いは起こらない”
とのドイツの言葉から発想したものだ。
『豊かさとは何か』
等の著作を通し、社会の諸相を浮き彫りにしてきた氏。
近年、地域や社会から本来の「対話」
が失われつつあるように感じているという。
では「対話」とは何か。
氏は「人間としての対等な立場で、
その時その場にもっとも必要な自分の考えや感情を、
自分の言葉で語る話し合い」と表現する。
一方的ではなく、双方の話を往復させる。
一般論や抽象論ではなく、
“自分自身”から離れない話題で。
“お世辞”
は対等ではないので対話にならない。
現代において、
同じ人間として胸襟を開き、
対等に語り合える場がどれほど貴重か。
そのかけがえのない機会の一つこそ、
老若男女が自身の思いを赤裸々に伝える学会の座談会であり、
友人、同志との「一対一」の対話といえよう。
対話のあるところ、平和が生まれる。
心通う対話の一つ一つが、
社会を根っこから変えていく。
我らの日々の友好対話は、
世界平和への具体的な行動であり、
民主主義の大地を耕す貴い作業にほかならない。(起)