“スーパー銭湯”などの人気はあるものの、
都内の公衆浴場の数は、年を追って減り続けているという。
東京・八王子市のある銭湯が昨秋、
創業62年でのれんを下ろ“すことに。
だが周知されるや、
存続を求める署名運動が起こった。
始めた有志の一人は「住民の貴重な交流の場だし、
震災時には防災拠点にもなるから」と。
署名は約2600人分も集まり、
感動した店主が閉店の延期を宣言。
テレビでも紹介され、銭湯は今、多くの人でにぎわう。
東京・信濃町の総本部がある場所にも、
かつて「信濃湯」という名の銭湯があった。
営業していた時期は、昭和21年からの10年間。
戦火で家を失った人たちのために地元町会が作ったもので、
連日満員の大繁盛だったそうだ。
昼間や休日には集会場として活用され、
子どもたちが紙芝居を見たり、
婦人が民謡を踊ったりしていたという。
人情味あふれる交流の場が今、
世界中の人々が訪れる地となったことに、
往時を知る方々も「不思議な縁を感じる」と語る。
毎夏、
総本部の敷地で行われる信濃町商店振興会主催の盆踊り大会も盛況だ。
社会の平和と安穏を目指す「立正安国」
とは一面、“地域共同体の再生作業”ともいえよう。
にぎやかに対話を広げながら、心通い合うわが町を築いていこう。(之)