広島で生まれ育った僕は...
保育園の頃から...
平和について...
学んできました...
毎年8月6日には...
被爆体験を聞いて...
だから戦争は...
したらいかんって...
思ってはきた...
でもそこに実感が...
伴ったのは...
小学3年生の時...
授業の一環で...
家族に被爆者がいる...
人はインタビューを...
することになりました...
市内に住む...
ひいばあちゃんが...
被爆者だってことは...
知っとったので...
軽い気持ちで...
電話してみたんです...
言いたくないんじゃ...
予想もしていなかった...
反応...
苦しみも想像せずに...
聞いてしまったことを...
後悔しました...
ひいばあちゃんは...
何度もためらいながら...
絞り出すように...
話してくれました...
1945年8月6日...
当時...
16歳の中田さんは...
学校に向かうため...
電車に乗っていた...
8時15分...
ピカッと光った...
見たことのない...
鮮やかな光だった...
次の瞬間...
すさまじい爆発音と共に...
窓ガラスがはじけ飛んだ...
爆心地から1・7キロ地点...
目を開けると...
そこはもう別世界だった...
中田さんに...
大きなけがはなかったが...
これまでの爆撃と...
違うことは...
すぐに分かった...
家族の元へ走った...
爆心地からほど近い...
十日市町への道筋...
残っている建物は...
ほとんどない...
皮膚が焼けただれた...
人とすれ違い...
川の中から助けを...
求めるうめき声が...
聞こえた...
地獄のような光景を抜け...
やっとたどり着いた家は...
瓦礫の山と化していた...
3歳の弟と5歳の妹を...
覆いかぶさるようにして...
守った母は...
家の下敷きになり...
10日後に亡くなった...
一瞬のうちに...
失われた日常...
戦後の混乱期は...
中田さんが...
母親代わりとなり...
弟たちを育てた...
僕は...
電話口で...
固まってしまいました...
話の内容もそうですけど...
ひいばあちゃんの声に...
驚いてしまって...
一言...一言...
震えとったんです...
それまでも被爆体験を...
聞く機会はありましたが...
どこか遠い世界の話の...
ように思っていた僕は...
衝撃を受けました...
いつもにっこり笑顔の...
ひいばあちゃんが...
涙で声を詰まらせて...
戦争はしちゃいかん...
と...
怒っているようにも...
聞こえた...
たとえ...
何十年過ぎようとも...
苦しみは続く...
原爆の恐ろしさを...
知りました...