熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城。
天守閣の南西に立つ「飯田丸五階櫓」
も2度の激震に襲われたが、倒壊を免れた。
支えたのは「奇跡の一本石垣」だった。
櫓は、4月14日の前震で石垣の一部が崩壊。
2日後の本震の後は、南東側の角に残された細い石垣だけで、
重さ17トン以上の櫓全体を支えてきた。
今夏、櫓周辺に架台が設けられたものの、
「一本石垣」は今も復興の象徴となっている。
変わり果てた故郷を見ると、やりきれない気持ちになる。
そのたびに池田先生の指導を読み返し、友の激励に歩いてきた。
この秋、仮設で1人暮らしをする友人と仏法対話を。
友人は「強く生き抜くあなたのようになりたい」と先月、入会した。
被災者の心には、将来への不安や現実の厳しさが、重くのしかかっているだろう。
その中で自身も苦境と戦いつつ、
皆を懸命に励ます同志の存在が、多くの人の折れそうな心を支えてきた。
あの「一本石垣」のように、
益城の婦人が語ってくれた。「これからだよ。
一番苦労した人が一番幸せになる信心なんだから。
今度は私たちの番だ」。
希望を失わない同志の胸中には“不動の信心の城”が堂々とそびえていた。(剣)