災害時に備える意味もあって、
試しに職場から自宅まで、都内を歩いたことがある。
全行程は15キロ。3時間半くらいだろうと予想し、
地図を片手に意気揚々と出発した。
だが、実際はそう簡単にはいかない。
道に迷っては引き返すという繰り返し。
諦めて幹線道路を歩くと、車の排気ガスで鼻や喉が痛くなる。
だらだらとした坂の連続で、やがて足も限界に。
一方で、新しい発見もあった。
不意に開ける素晴らしい眺望。
電車でしか行ったことのない駅同士が、実はそれほど離れていないこと。
「点」でしかなかった場所がつながってくる。
頭の中の地図が、立体的に立ち上がる。
所要時間は予定よりかかったものの、収穫は大きかった。
万事、やってみなければ分からないことは多い。
もちろん、事前にさまざま考えることも大切だ。
しかし、それで全てが分かるわけではない。
実際に体を動かせば、心も大きく動きだし、
新しい出会いや気付きが生まれる。
初代会長の牧口先生は青年に言った。
「勇猛精進し給え! 仏法は実行だよ。
精進だよ。
老齢にはなったが、私も実践しています」。
学会にはこの「行動第一」の伝統が生き生きと脈打っている。
さあ自他共の勝利の春へ、わが心の扉を大きく開き、
友好対話に打って出よう。(起)