街や駅構内など、至る所で見かける“黄色い道しるべ”。
考案者は同市の実業家で、
発明家としても活動していた三宅精一氏。
きっかけは路上で遭遇した、ある出来事だった。
道路を横断する一人の視覚障がい者。
そのすぐ横を、自動車が勢いよく走り去った。
一歩間違えれば大惨事だ。
視覚障がい者が街を安全に歩くためにはどうすればいいか――
氏は真剣に考え始めた。
ヒントは、
目が不自由な友人の“コケと土の境は、靴を通して分かる”との一言だったという。
ここから、地面に突起物を配置し、足元から危険を知らせることを発案する。
当事者の意見を丹念に聞き、
形状・配列・寸法などを工夫。試行錯誤の末、完成にこぎ着けた。
その後、全国で需要が拡大。
点字ブロックは現在、世界の多くの国々でも活用される。
かつて戸田先生は「その人のためにどうしてあげたらいいか。
その慈悲から、一つ一つ具体的な智慧が生まれる」と教えた。
人生の万般に通じる視点であろう。
「目の前の一人を救いたい」
との深い祈りから、無限の知恵が湧く。
人生の岐路で道に迷い、悩む友がいるならば、
その足元を励ましの光で照らし、共に一歩を踏み出したい。(値)