「日本で47番目に有名な県」
「いいえ、砂丘はありません」
自虐的な言葉が、かえって目を引くある県のカレンダー。
累計約10万部を販売する大ヒット商品になった。
ある県とは「島根県」。
“発想の転換の勝利”だった。
閑散とする同館の状況を打開したいと祈る中、
「展示水槽内での人工繁殖」を思いつく。
国内での例はないが、だからこそ価値があると確信した。
夜を徹して川に漬かり、生息環境を調べた。
水槽内を限りなく自然界に近づけた結果、産卵に成功。
日本初の快挙に、来館者が押し寄せた。
以来、毎年、産卵を成功させ、全国で指導も行う。
33年前の5月、池田先生は提案した。
地域の繁栄と幸福を祈り、山光り、
里光る土地の素晴らしさを見事に表現した言葉が、
同志だけでなく、多くの市民を勇気づけていった。
山陰には人口の少ない地域もあるかもしれないが、
その分、古き良き「ふるさと」の風情がたっぷり残っている。
多くの場合、短所と長所は裏表だ。
問われるのは、わが地域を元気にしたいという、
人間の情熱であり、短所も長所に変える知恵なのである。(子)