信頼できる人間の資質の一つに
「誠実さ」がある
だれに対しても、態度、言葉づかいなどが一貫して変わらない姿は
見ていてすがすがしい
《先方の人を見て自分の身を伸び縮みするようなことではしょうがない》と
日本人の国民性を指摘したのは、福沢諭吉
相手によって、威張ったり
丁寧になったりする当時の日本人の不誠実さを嘆いているのである
諭吉がこうした国民性を指摘したのは、百年以上も前のこと
しかし、この相手によって態度を変える国民性は
少しは変わっているであろうか
欧米とアジアに対する眼差しや接する態度
最近のさまざまな事例を通しても、それは分かると思う
こうした心根を仏典では、修羅の姿を通して戒めている
自分より弱い者の前では
大海の中に立っても、海水がひざまでしかないほど
自分を巨大な存在だと思う
反対に、強い者に責められると
蓮の中に小さくなって隠れる
こんな「伸び縮み」するような態度では
だれからも信用されないであろう
だれに対しても、変わらない誠実を貫く
その一貫した姿の中にこそ、豊かな人間関係を
ひいては国と国との信頼関係も築かれていくのではないだろうか