「雛祭る 都はづれや 桃の月」(与謝蕪村)。
3日は「桃の節句」。
千葉県勝浦市では約3万体のひな人形が飾られるなど、
各地で多彩な行事が行われている。
「ひな人形を見ると、思い出す」と池田先生は述懐したことがある。
1945年(昭和20年)3月の東京大空襲の後、
大田区内の先生の家は空襲による類焼を防ぐため、取り壊しに。
だが同年5月のある日、転居したばかりの疎開先で再び空襲に遭う。
疎開先の家は全焼。
何とか運び出した荷物が、ひな人形だった。
それでも母は「このおひなさまが飾れるような家に、きっと住めるようになるよ!」。
この気丈な明るさが「わが家の希望の光となった」と。
ひな祭りは、元は貴族階級の文化。
庶民に広がったのは江戸時代といわれる。
ただ、わが子の健やかな成長を祈る親の心に古今東西、違いはあるまい。
少子化、グローバル社会に対応する学校教育改革、
貧困・格差と、子どもの現状への社会的関心は高まっている。
だがそこには、子どもを“経済成長や社会保障の担い手”と捉える前に、
子どもたち自身の幸福を中心に考える視点が根本になければならない。
子らを慈しみ、励ます文化をつくる。
それが明るく、平和な社会を築く力になる。
きょうから未来部希望月間。(芯)