東京・目黒区には坂が多い。
故・美空ひばりさんの自宅も坂道の途中にあった。
「生れし時に/この道知らずとも/
この道を歩み/幾年月ぞ/今日涙して/明日又/笑おうぞ」。
昭和の歌姫が生を受けたのは、80年前の5月29日。
52年の生涯に歩んだ道は、マスコミの心ない中傷や、
病との格闘、最愛の母と弟の死など、
苦難の風雨に打たれ続ける坂道でもあった。
戸田先生の自宅の最寄り駅は目黒駅。
池田先生はその自宅に何度も通い、
時に雨の権之助坂を師と共に歩いた。
自身の肺病、師の事業の破綻、先輩の裏切り……
うち続く嵐の中、
師弟という“人生の高み”を目指し、池田青年は上り続けた。
上るも下るも、同じ一つの坂である。
苦しくとも栄光への道を上り切るか、
それとも鍛えを避けて下ってしまうか。
問われているのは、常に己の心だ。
他人と比べるのではなく“昨日の自分”に勝つ。
一歩でも二歩でも、日々の歩みを止めない。
振り返ったとき、素晴らしい人生の景色を見下ろせるはずだ。
自分との戦いを、今日もいざ!(之)